香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
子猫を褒めて木から下りようとして、あっ!と思う。
猫を手に乗せたままでは下りられない。
どうしよう〜。
地面までは二メートル近くあって飛び下りるのは無理だ。
六歳の私には高すぎて足がすくむ。
困った。
どうやって助ければいい?
猫と目を見合わせていたら、下から男の子の叫び声がした。
「受け止めるから飛び下りろ!」
大好きな童話に出てくる王子さまのような容姿をした金髪碧眼の美少年。
年は十二歳くらいで、背は百五十センチほどだろうか。
彼は、見たこともない黒衣を身に纏っていた。
「でも……」
怖くて飛べないよ。
下を見てブルブル震える私に向かってお兄ちゃんは大きく腕を広げる。
「大丈夫!しっかり受け止めるから信じて!」
彼の曇りのない海の青のような瞳を見て、心が少し落ち着いた。
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