香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
5、異世界の不思議な機械ーアレンside
「昨日、クレメンス伯爵の娘とハーディ男爵の娘が失踪したらしいぞ」
サイモンが俺の机に寄りかかり腕を組む。
政務関係の書類を読み終えたところで、彼が執務室に入ってきた。
「失踪?」
サイモンの報告に眉根を寄せる。
「ふたりともサロンに行った後、町中でやっていたサーカスを見に行ったが、そこで行方がわからなくなったそうだ」
「そのサーカス団は?」
サイモンに尋ねると、彼は訝しげな面持ちで答えた。
「今朝、ハーネスに向けて出立したとか」
ハーネスというのはパルクレールの隣にある国。最近我が国の街娘がたくさん攫われる事件が多発していて、どうやらハーネスの娼館で働かされているという噂があるのだ。
隣国との問題だけに俺もサイモンも慎重に動いているが、まだ攫われた娘たちの発見には至っていない。
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