香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
「……今度は貴族の娘まで狙ってきたか。また娼館絡みと考えた方がいいだろうな」
溜め息交じりの声で言うと、サイモンは「どうする?」と俺の指示を仰いだ。
隣国と協力して……といきたいところだが、今の隣国のジーク国王は税を重くしたり、民衆に兵役を課したりしていて悪名高く、パルクレールとの関係も冷戦状態。
なにかあれば、ハーネスは必ずパルクレールに侵攻してくるだろう。
武力ではうちが優っているが、戦争となれば隣国だけに民衆にも多数の死者が出る。
それは絶対に避けなければならない。
それに、貴族の娘が狙われたということは、黒幕もある程度身分の高い者だろう。
上客を相手にするからこそ貴族の娘に目をつけたのだ。
「秘密裏に動くのは変わらないが、隣国に直接行って娼館を調べる必要がある。信頼のおける部下にもその任務に当たらせろ」
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