恋の駆け引き~イケメンDr.は新人秘書を手放せない~
いつまでも、変わらずにはいられない。

説教

ガチャッ。

なるべく音をたてないように、そーっと玄関を開けた。

午後11時。
ボスはまだ帰っていないだろうと思っていたのに、窓から明かりがもれていて驚いた。

ヤバっ。
ボスが帰ってる。

今日は2次会3次会もあるだろうから、きっと遅くなると思っていたのに。
もしかしたらすでに寝ているかもしれないと期待して、できるだけ静かに玄関に入り、ドアを閉めた瞬間、

「何時だと思ってるんだッ」
鼓膜に響く声がした。
「遅くなって、すみま」
「何度電話したと思ってるんだッ」

電話?
慌てて鞄から携帯を出し確認すると、
あーぁ、すごい着信。

「すみません、マナーにしたままでした」

それに、先輩とお茶した後でカラオケに誘われてつい盛り上がってしまい、全く気づかなかった。

「どこに行っていた?」
「えっと、お茶をしてからカラオケに」
「誰と?」
「た、・・・友達です」

一瞬、先輩の名前を出しかけてやめた。
一緒にパーティーを抜け出したことがわかれば、叱られるかもしれない。

「誰?」
「え?」
「友達って誰?」
真っ直ぐに私を見つめ、嘘は言わせないぞって威圧感が半端ない。

「それは・・・」
言葉に詰まった。
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