ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
第六話 ウォルの策略と三兄弟の真実
 あのあと。先に帰ってしまった私を心配して、クラレットとセピアが部屋にやってきた。

「ごめんなさい、私おしゃべりが楽しくなっちゃって、あなたたちふたりのことにまったく気付かなくて……!」

 クラレットは、私の泣き腫らした目を見て何かを察し、抱き締めてくれた。

「もう……! 本当に、何があったのよ!」

「僕もごめん! 珍しく男子グループの輪に入れたから嬉しくって、羽目を外しちゃって……。気を付けて見ているつもりだったのに」

 セピアにも、泣きそうな顔で謝られた。

「アッシュの具合が悪くなって、ケイトが帰ったって聞いてびっくりしたよ。……何があったの?」

「クラレット……。セピアくん……」

「ここまで来て話さない、っていうのはナシよ。ちゃんと全部話してちょうだい」

 クラレットに母のような優しい声で促されて、私は一部始終を打ち明けることにした。

 三兄弟の体質の話になったときは、

「ああ~、聞いちゃったんだ」

 と、ふたりともが気まずい顔をしていた。

「アッシュは自分の力は抑えていたけどさ、僕は女の子といちゃいちゃするときに雰囲気を良くするために使ったりしてたんだよね。なんか、こう改めて聞くと自分が本当にダメな男に思えるよ」

「私は恋愛には使わなかったわよ。でも、接客をスムーズにするために、お客さまに対して使ったことはあったわね。特にお店に出るようになった最初のころは、中身は男性ってことで信用してもらえない部分があったし」

 ふたりとも根が真面目なのか、そこまで犯罪じみた使い方はしていないようで安心した。
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