忙しいが楽しい『青弓亭』での日々が過ぎて行った。
 この食堂に来るお客は、今は警備隊員だけではなくなり、一般の王都の民や冒険者稼業の者で毎日いっぱいになっていた。
 あまりに繁盛し過ぎて、警備隊員は遠慮をしなければならなくなったほどだ。

「まいったね。エリナちゃんの料理はボリュームがあってとびきり美味しいから、毎日食べたいくらいなのに」

 狐のサファンは、飴の入った包みを「おやつにお食べよ」とエリナに渡して頭を撫でながら言った。

「すみません。もっとたくさんの数をお出しできればいいんですけれど」

 エリナが耳をへにょっとさせて言うと、彼は「無理はしなくていいんだよ。美味しい食事をみんなで分け合えるというのも良いものさ」とウィンクをして、仕事に戻って行った。

「サファンさんは、優しいですね」

 エリナの言葉にミメットも頷いた。

「そうだね。荒仕事が多い警備隊員にしては物柔らかだし、子どもや女性にも人気があるらしいよ」

 ミメットは「でも、1番人気はルディ隊長だけどね」と笑いながら付け加えた。頼り甲斐のある隊長は、頭部がいつも狼なのも相まって、精悍でカッコいいと評判なのだ。