ポンコツ令嬢に転生したら、もふもふから王子のメシウマ嫁に任命されました

プロローグ

平々凡々な家庭に生まれ育った私は、容姿や学力など際だって秀でている所はなく、極めて人並みな人生を送っていた。

両親が共働きだったからか、小学生のときから家事はお手の物。特に、料理の腕に自信があった。

料理が好きというよりは、夕食の準備をしたら両親が喜び、笑顔で食べてくれることが嬉しかったのかもしれない。

そんな私は料理学校を卒業し、下町の小さなレストランに就職した。

そこは家族との思い出のレストランで、温かい雰囲気とおいしい料理が自慢の店だった。

レストランに行けるのは、給料日や誕生日などの特別な日だけ。毎回、私は楽しみだった。

ふわふわ卵のオムライス、とろとろになるまで煮込んだ牛肉入りのカレー、肉汁が溢れるハンバーグなど。

レストランを訪れる人々は皆、笑顔だった。思わず微笑んでしまうくらい、どの料理も絶品だからだろう。

　私も、家族以外の人を笑顔にしたい。そんな志を胸に、料理人の道を歩み始めた。