切愛願望~極上御曹司の庇護欲からは逃げられない~
4、あれは彼のそっくりさん?
目を開けると、今日も目の前に玲司さんの顔があった。
ハッと驚くが、もうパニックにはならない。
なぜならもう三日続けて玲司さんと一緒に寝ているから。
でも、胸の鼓動は激しい。
落ち着け、美月。
きっとまた私が夜中にうなされて、玲司さんがなだめてくれたのだ。
ああ~、また彼に迷惑かけちゃったよ〜。
それにしても、ここは玲司さんの寝室?
ゲストルームで寝てたはずなのに、なんで移動してるんだろう?
二十畳くらいの広い寝室。大きな本棚がドーンと置かれていて、高価そうなアンティークの革装の本がずらりと並んでいる。
私と玲司さんが寝ているのは、キングサイズの大きなベッド。
壁には茶色の毛をした可愛い猫の絵が飾られていて、つい見入ってしまう。
……この猫、ひょっとしてマロンかな?
玲司さんが寝言で言ってたマロンというのは、彼のお祖父様が飼っていた猫の名前で、ノワールの看板猫だったらしい。玲司さんが中学生の頃に死んでしまったと彼が私に話してくれた。
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