同窓会〜あの日の恋をもう一度〜

Dolce notte

 悠太くんが車間を開けて駐車していてくれたおかげもあり、よっぽど車から降りて外に出ていなければ他の車から私達のキスは見えていないだろう。
 唇が離れても、何だか離れ難い気持ちになるのは何故だろう。

「天体観測に連れ出そうと思ってたのに、それどころじゃなくなりそうだ」

 悠太くんの言葉に、私も思わず赤面しながらも私もそれどころじゃないと伝えると、再び強く抱き寄せられた。

「そんなこと言ってたら、結衣の事食べたくなるじゃないか……」

 今日はバレンタインデーである。もしかしたらチョコレートの様に甘い夜を過ごす事になるのだろうか。
 期待半分、不安半分。悠太くんはどうするのだろう。
 私は返事が出来なくて固まりながら俯いてしまうと、頭上から悠太くんの苦笑いの声が聞こえた。

「がっついてるって思われたくないからこれでも我慢してるんだけど、今はお互い仕事も忙しいからなかなか会えないし、いつだって結衣を自分のものにしたいって気持ちはある事だけは知っておいて。
 流石に今日は結衣も気持ちの準備が出来てないだろうし」

 図星を指されて私は言葉が出ない。
 と言うか、悠太くんの本音を聞いてびっくりした。
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