同窓会〜あの日の恋をもう一度〜

自覚した気持ち

私の図書室の思い出は、図書当番で昼休みや放課後にカウンターに座り、司書の真似事をした事が殆どだ。

中学校の図書室の本の数なんて公立図書館と比べたら絶対数が少ないし、ましてや思春期や反抗期を迎えた多感な時期の子供達が素直に学校図書に慣れ親しむ姿を見る事は少なくて、大抵の利用者は放課後の時間潰しや受験勉強をする人ばかりだった。

坂本もそんな受験勉強組の中にいたのは最初だけだった。

元々成績はそれなりに優秀な方で生徒会長とバスケ部キャプテン、モテ要素だらけの人生勝ち組コースを既にこの頃から歩んでいた。
図書室(ここ)で放課後に残っていたのは、きっと単に女の子避けだったのだと今頃になって思える様になった。

一学期の中学総体が終わって三年生は部活を引退するけれど、坂本は確か夏休みが終わるまで部活に顔を出していた。
そして二学期になってから放課後は図書室に入り浸っていた。

私は委員会だから引退とかはなく、私も放課後の当番の方が宿題が片付くと言う安易な理由で水曜と金曜の放課後に当番でカウンターに座っていた。

誰もいない事をこれ幸いと、私は真っ直ぐにカウンターに向かった。そして中に入りカウンターに設置されている椅子に座ると、図書室内を見渡した。

まるで十年前に戻ったみたいだ。

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