隠れイケメンの王子様に恋しました

恋する乙女の苦悩と恋心

「マジで!?」

朋絵の絶叫!

翌週の月曜日、今日は天気がいいからと工場の敷地内にある小さな広場の木陰でお弁当を食べた。
早速飲み会の出来事を朋絵に話すと信じられないと首を振る朋絵。

「のっぽメガネが御影部長…御影部長がのっぽメガネ…」

ぶつぶつと言っている朋絵にムッとして脇を突く。

「なによ~、絶対似てるって言ったでしょ!本人だったけど」

「でもなんで?苗字が違うの?一人二役みたいなことしてるの?」

「それはね…」

あの日の帰り、送ってもらったときに聞いた身の上話。

大宮は母の旧姓で、大宮さんのご両親は離婚して、兄は御影自動車の後継者だからと父が引き取り、まだ赤ちゃんだった大宮さんは母方に引き取られた。
大宮さんは時々父との面会はあったものの大学まで普通に一般家庭として育ち、御影会長に連れられ高岡さんと出合ったことが切っ掛けでこの工場に就職した。
そんな折、母が再婚して夫の仕事の都合で海外へと行って一人になった。

そして、大宮さんのお爺さん、御影会長が御影グループに属してるのなら本社も手伝えと半ば強引に大宮さんを本社に引き入れたそうだ。

大宮さんも初めは渋っていたものの工場は辞めないと条件を出して出向という形で本社に度々出向いている。
本社で御影と名乗ってるのはその方が社長たちにとって都合がよかったから。
部長という肩書も名前だけで、社長の息子と言うだけでかなりプレッシャーがあるから本人は本当は嫌らしい。
工場で御影と明かさないのは色眼鏡で見られたくないから、だそうだ。

< 60 / 124 >

この作品をシェア

pagetop