きみのための星になりたい。

本当に可愛い、私の大切な弟だ。

たとえこれからどんな困難が待ち受けていようとも、私はこの手を離さないようにしよう。小さな温かい身体を腕に閉じ込めながら、そう強く思った。

それから私は蓮の手を繋いで二階に上がり、蓮とお母さんに「おやすみ」と就寝前の挨拶をした後、すぐに自室へ戻りベッドに腰かける。

冷房をつけたままにしていたため、部屋の空気はひんやりと冷たい。思わず、何度か自分の腕をさすった。

「あ、いけない。カーテンだけ閉めなきゃ」

カーテンを閉めることを忘れていたことに気付き、ゆっくり立ち上がると窓のそばまで歩み寄る。そしてカーテンの端に手をかけた。

……その時、ふと空を見上げた私。そこには満天の星空が広がっていて、自然と感嘆の声が漏れる。

暗がりの中にちらちらと浮かぶ星の光ひとつひとつがこの幻想的な景色を構成する要素であり、それら全てが私の瞳の中心で輝いている。

やっぱり、星の瞬く夜空はいいなあ。

自分の不甲斐なさにどれだけ気分が落ち込んでいても、そんな心に寄り添うように私を照らしてくれる。

私も、この瞳に映る星々のように。柊斗の苦しみや悲しみ、その全てを癒すことができたらどれだけいいだろう。

……ああ、また柊斗のことを考えてしまった、と、自然に柊斗を思い出していた自分自身に苦笑いを浮かべ、私は開いていたカーテンをシャッと閉めた。

そしてベッドに入り、タオルケットを顎下まで手繰り寄せる。目を瞑り、夢の中に落ちようと頑張ってはみるものの、柊斗の顔がどことなくちらついてどうやらすぐには眠れそうにない。だから私は諦めてまぶたを上げると、天井をぼんやりと眺める。

柊斗の心の中に潜む闇を完全に晴らすには、きっと柊斗自身がお母さんや妹に向き合う他ない。それは分かっている。

では、私には何ができるのだろう。柊斗のために、今の私ができること。やっぱり、現状のように柊斗に寄り添っていることしかできないのか。

「……あ」

ぐるぐると考えを張り巡らせ、数分が経過した時。私の中にある案が思い浮かんだ。
< 80 / 120 >

この作品をシェア

pagetop