25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
家を飛び出して、とにかく走っていると、電話が鳴る。


また、あいつ?そう思って、携帯を見ると、春希だ。


『今、仕事終わったとこ。どうしたの?』


という春希の言葉が、終わるか終わらないかのうちに


「お願い。今晩、あんたん家、泊めて!」


と叫ぶように言っていた。


『はぁ?』


突然の私の言い草に、戸惑う春希に


「今から行くから、よろしくね!」


『ちょ、ちょっと朱美!』


慌てたような声を出す春希に構わず、私は電話を切ると、そのまままっすぐ彼女のマンションに向かった。


1時間程でたどり着いて、インターフォンを鳴らすと、春希が出迎えてくれる。目を真っ赤にしている私を見て、一瞬息を呑んだけど


「とりあえず、入ってよ。」


と招き入れてくれる。ドアを閉めた途端


「春希!」


いい齢をしたおばさんが、同級生のおばさんの胸に飛び込んで、大泣きを始める。最初は明らかに戸惑っていたけど、春希はそんな私の背中や頭を優しく撫でてくれた。


少しして、ようやく落ち着いた私に、上がるように促すと、コーヒーを煎れてくれる。


「さ、何があったの?話してごらん。」


コーヒーを一口運んで、1つ息をついたあと、私は堰を切ったように、一連の経緯を話し始めた。興奮して、涙混じりに、まくしたてる私の言葉を、春希は何も口を挟むことなく、静かに聞いてくれた。


そして、私がようやく落ち着いたのを見計らって


「そっか。よし、とりあえず呑もうか。」


そう言って、優しく微笑むと、春希はキッチンに立った。
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