25年目のI love you~やっぱり一緒に・・・②~
その後、沈み行く夕陽を、寄り添って見ていた私達は、太陽が完全に地平線にその姿を没するのを見届けると、お互いを見た。


「きれいだったね。」


「ああ。」


そう言って微笑み合う。


「さぁ、これからどうしようか?」


「うん・・・家に帰ろう。」


「えっ?」


これから、ディナ-にでも誘ってくれるつもりだったらしい隆司さんは、私の返答に驚く。


「明日、当たり前だけど、あなたはお仕事でしょ?帰って、いろいろ準備しないと。」


とすっかり主婦に戻った発言をした後


「それに、今は一刻も早く、うちに帰りたい。私とあなたの、私達家族のあのおうちに。」


ちょっとはにかみながら、そんなことを言った私。そんな私の顔を、少し見つめた隆司さんは


「可愛い。」


「えっ?」


「やっぱり最高に可愛いんですけど、俺の嫁さん。」


と満面の笑み。


「隆司さん・・・。」


そんなことを、面と向かって言われて、いよいよ照れ臭くなって、俯いた私に


「帰ろう。」


と言った隆司さんは、また優しく私の手を取って、歩き出した。いい齢して、何、恥ずかし気もなく・・・というご指摘は、甘んじて受けますから、今は自分達の世界に浸らせて下さい・・・。


帰り道、アパ-トに寄って、当面の身の回りの物を持ち出した私は、再び隆司さんの助手席に。そう、一人暮らしの今の部屋に戻る必要は、もうないんだ。


しばらく走ると、我が家の灯りが見えてくる。


「電気点いてるな。清司、帰って来てるのかな?」


「そうじゃない?デートとか言ってたけど、そんなわけないし。」


「それはアイツに失礼じゃないか?」


「休みの度に、母親の部屋に泊まりに来てた子に、彼女なんかいるわけないでしょ。」


「それも、そうか。」


隆司さんは、吹き出している。


「でも子供達にも、すっかり迷惑かけちゃったね・・・。」


「そうだな、本当にいろいろ心配してくれたし。感謝しないと。」


「うん・・・。」


私達は、一転神妙な表情になる。
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