ホームズの子孫は私を口説く
みんなが集う昼
朝ごはんを食べ、掃除や洗濯などをした後、私は日課の読書をする。一日に何ページか本を読むことにしているんだ。今読んでいるのはミステリー小説だ。最近話題となっていて、映画化の話もあるらしい。話題なだけあって、犯人が誰なのか全くわからない。

「和香、何を読んでいるんだ?」

ホームズさんの声とともに、ふわりとバラの香りが鼻腔に入り込む。セイロン紅茶の香りだ。

「ミステリー小説です。なかなかおもしろいですよ」

私が顔を上げると、二人分のティーカップを持ったホームズさんがいた。彼は私の隣に座り、紅茶を飲む。

「どんな話なんだ?」

ホームズさんが興味深そうな目で小説を見つめる。私は笑顔で小説について語った。

南の島に映画の撮影で訪れた女優たち。撮影が順調に進んでいく中、女優の一人が謎の死を遂げる。それを機に、何人もの女優たちが死んでいくというものだ。

「あと少しで読み終えるんですけど、まだ犯人がわからなくて……」
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