ホームズの子孫は私を口説く
私がそう言うと、「ほう」とホームズさんの目が輝く。

「さっき事件を解決したから暇なんだ」

そう言い、ホームズさんは私の読んでいる小説を見始めた。どうでもいいけど、なぜか私の腰にホームズさんの腕がある。ち、近い……!

「和香、少し手伝ってほしいことがーーーホームズ!!何やってるの!?」

医学の資料を手にリビングに来たワトソン先生が驚く。そして、私とホームズさんを引き離す。その顔は戸惑っていた。

「ワ、ワトソン先生?」

私がじっとワトソン先生を見つめ、ホームズさんはワトソン先生を睨みつける。しかし、気まずい沈黙が訪れることはなかった。

コンコンコン、と玄関のドアがノックされる。私は慌てて玄関に走った。

「はい」

ドアを開けると、よくこの家にやって来る人たちだった。ロンドン警視庁のレストレード警部とグレッグソン警部だ。

「こんにちは!ホームズさんならいらっしゃりますよ」

事件の捜査依頼かと私はいつものように言う。しかし、レストレード警部が「いや、今日は違う目的で来たんだ……」とキョロキョロしながら言った。
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