2人のあなたに愛されて~歪んだ溺愛と密かな溺愛~
『今日からよろしくお願いします』


樹さん、挨拶も簡潔だ。


あまり多くを語らないタイプみたいだな。


仕事が始まると、樹さんは、柊君と同じ部屋のデスクについた。


兄弟2人で、仕事が出来るなんて、嬉しいだろうな。


近々、樹さんは副社長になるみたいだから、柊君が、日本での仕事をいろいろ教えてあげてるんだろう…


『柚葉ちゃん、これ、コピーお願い』


そう言って来たのは、専務の山下佳彦(よしひこ)さん。


35歳、既婚者。


ガッチリした体つきは、昔ラガーマンだったかららしい。


柊君とは、また違うタイプだけど、彫りの深い顔が男らしくて、大人な雰囲気が素敵だって、ファンも多いみたい。


私は…あまり好きなタイプじゃないけど…


『あ、はい、わかりました』


専務は、なぜか、いつも私に雑用を頼んで来る。


後輩もいるし、毎回私じゃなくても…


嫌われてるのかな…私。


『急いでね、頼むよ』


急かされて、私は、自分の仕事を一旦中断して、コピーをしに行った。
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