エリート俺様同期の甘すぎる暴き方~オレ、欲しいものは絶対手に入れる主義だから~
「なんだよ、そんなに俺の顔見つめるほど好きなのかよ?」

 照れとからかいの混じり合った拓海の言葉。日菜子はこういう彼の姿にも胸が苦しいくらいときめいた。

「そうなのかも。ずっと見ていたいくらい好きなんだと思う」

 恥ずかしさよりも、伝えたい思いが勝った。

 そんな真剣に愛の言葉を口にした日菜子に、拓海は軽く目を見開き驚いた。しかしその後彼女をそっと引き寄せる。

「俺もそうなんだ。いつもこうやって一番近くで日菜子を見ていたい」

 少し掠れた声と熱い視線。どうしようもない衝動に駆られてふたりは唇を重ねた。

 エレベーターの扉が開いてから、ふたりは無言で拓海の部屋に向かった。手は強く繋がれ、さっきまで重なっていた唇は互いの感触を残したまま余計に熱を煽る。

 拓海は鍵を開けるのももどかしいといった様子で、乱暴に扉をあけるとすぐに日菜子を引き入れた。

 そんな強引な態度にさえ彼の愛情を感じる日菜子は、部屋に入るなり彼の腕に抱きしめられると、すぐに背中に手を回して抱きしめ返す。

 
「日菜子、俺は全力でお前を守りたいし幸せにしたい。俺どうしても日菜子が傷ついていたり悲しんでいたりすると、苦しくて仕方ないんだ」

 日菜子は目を見開いた。

 まさか拓海の思いがそこまでだとは思わなかった。こんなに深い愛を与えられていたことに日菜子は目をうるませる。

「俺は男としてはまだまだだ。だけど日菜子がいつも笑っていられるように努力するって誓う。だから日菜子は安心して俺のそばにいてほしい」

 言葉が出てこなかった。愛しい気持ちが胸をいっぱいにしてただうなずくことしか
できない。
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