real feel
「おねぇ、私が拭くのやるから!」

「手伝ってくれるの?えらいねぇ、あかり」

「アラにぃから追い出された。お母さんと主任さん真面目な話してるからかな。なんかねぇ、お母さんが主任さんにおねぇとこれから先もちゃんと付き合うつもりがあるのかって聞いてたよ。そこまでしか聞けなかったけど……」

あかりが小声でそっと教えてくれた。
もう、私に隠れて何を話しているの?
あっちの会話が気になって仕方がないけど、多分私に聞かせたくないのだろう……全く聞こえない。

のんびり洗い物なんかやってる場合じゃない。
スピードアップ!!

「おねぇ、急に早くなった!追いつかないよ」

「私も拭くの手伝うから。今日はね、主任がショートケーキを買って来てくれてるからみんなで食べよ!」

「うん!!やったーケーキだぁ」

前から買ってくれるって約束だった"Many cakes"のケーキだ。

超特急で洗い物を済ませ、ケーキとコーヒーのお替りを用意して団らんに戻る。
もう秘密会議は終了したらしく、和やかに食後のデザートをいただいた。

それにしても、何を話していたんだろう……?

「うわぁ~美味しい!!」

「ホント、美味い」「マジで、美味い」

「前に戴いた焼き菓子も美味しかったものね」

「……うん、RYUZAKI工房で戴いた時より美味しく感じるかも」

私たち家族全員、絶賛の嵐だった。

「そうか?俺も美味いとは思うけど、俺にとってはもっと美味いケーキがあるからな……」

主任、もしかしてそれって。

「……翔さん、そういうこと言うの姉貴の前だけにしてくれませんか?俺たちどんな反応したらいいか困るし」

新がちょっと気まずそうに呟いた。

「わりぃ。今度から気を付けるよ」

ちょっともう……主任ったら!!

「それじゃ、そろそろ帰ります。ご馳走さまでした」


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