真 実
リハビリ開始

才賀先生の診察後から
三食を少しずつ取り始めた。

毎回、夫であると言う彼が
トレイにのせて運んでくれる。

この人は、いったい、
いつ仕事をしているのだろうか?

「美琴、おはよう。
今朝は、おじやにしたよ。」

「美琴、お昼だよ。
たまには、麺も良いかと
ニュー麺にしたよ。」

「美琴、晩御飯は、
親子丼にしたよ。」と・・・・。


私の身体の清拭には
才賀先生の所?の
看護師?さんが
朝と夕方にきてくれる。

朝も夜も、バイタルをチェック後に
身体を拭いてくれる。

一週間が過ぎて
看護師さんに捕まりながら
ベッドからおりて
歩行の練習が始まった。

初日は、立つ事もやっとで
才賀先生と看護師さんに
支えてもらった。

なぜか・・
彼は・・・リハビリの時は、
顔を見せなかった。

才賀先生は、
「ゆっくりやれば良い。
一人で立てるようになったら
シャワーから始めよう。」
「えっ、本当ですか?」
「ほぉ、嬉しそうじゃの?」
「はい、身体を拭いてもらうのも
気の毒でしたし。」
と、看護師さんの方を向いていい
「髪も洗いたかったから。」
と、話すと
先生も看護師さんも
笑ってくれた。

なぜか、この二人には
警戒心が無かった。
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