君の子守唄

あれ程小さかった寧々も、すっかり大きくなり。

後数日で、中学を卒業する。

桜の花が、後少しで咲き始めるようで…………

川沿いの並木道は、薄くピンク色に染まってきている。

「彰人君、卒業式の後の約束。
絶対に守ってよね!」

「だから、それはお母さんの許可を貰ったらな。
まだ言ってないんだろう。」

絶対に許可なんて出ないと、俺も寧々も分かっているから………

ずっと続いている会話だ。



あれから寧々は、沢山の愛情を貰ってすくすくと育っていった。

途中何度か、実母の所に帰り

その都度保護されて、洋介の所に来ていたが。

小学2年生の時

母親が再婚するにあたって、親権を放棄した為。

正式に洋介のウチの子供となった。

おばさんの娘、洋介と彩ちゃんの妹になり

寧々は、洋介達の娘の彩花ちゃんのおばさんになった。

小学2年生でおばさんは、不満らしいが。

妹ができたと、お姉ちゃんらしくなっていった。

相変わらず寧々に甘い大人達は

悠人や唯ちゃん、航君と海晴ちゃん夫婦に夏苗ちゃん夫婦と

たんぽぽ幼稚園の先生達に波及し

すっかりワガママお嬢様になってしまった。

それを束ねるのは、肝っ玉母さんのおばさんで。

寧々がどんなに甘えても、おばさんだけは簡単にオッケーを出さない。

今もそれで困っている寧々だ。
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