星の数より多く、君に愛を伝えたい。

輝美side


松岡くんが話してくれた過去は、わたしの想像を上回るくらい悲しいものだった。


好きだった星歌ちゃんに、『好き』と言えないまま避けられないお別れをすることになって。


もう二度と会うことができないことになってしまったなんて。


それが、どれだけ悲しくて。
そのどん底が、どれだけ深いのかは、わたしにははっきりと分かるものではない。


ただ、松岡くんはわたしとは比べ物にならないくらい、衝撃な経験をしたことだけは分かった。



「もう、いろんな部活の部員が帰り始めてるよ。俺らも帰らないと、先生に叱られるぞ」



いつもの、松岡くんの笑顔だ。



「うん……そうだね」



わたしは力なく笑い、2人で靴箱へ向かう。


話を聞く限りでは、星歌ちゃんと松岡くんは両思い、だったんだよね。


でも、病気のせいで叶えられなかったっていうこと。
これは、誰のせいでもない。


星歌ちゃんは悪くないし、松岡くんだって悪くない。
周りの人だって悪くない。


でも、そんな誰のせいでもないことに、星歌ちゃんは天国に旅立ってしまった。松岡くんは、後悔して泣くことになってしまった。




< 114 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop