星の数より多く、君に愛を伝えたい。

輝美side

【みなしご】


「輝美」



授業参観当日の日。黒いバッグを持って、わたしのところに歩いてきたのはおばさんだった。



「お、お母、さん……」



いつもみたいに『おばさん』なんて呼ぶと、みんなに親子っぽくないと絶対に思われるのが目に見えている。


だから、わたしは学校の中でだけはおばさんのことは『お母さん』と呼ぶのだ。



「お友達は、どこ?」



「あそこにいるよ」



わたしが真帆たちのいるところを、指さして言うとそれに反応した彼女たちがやってきた。



「あれ!? 輝美のお母さんだ!」



「わあ、本当だ」



みんなは「こんにちはー!」と言って、おばさんに頭を下げた。



「こんにちは、真帆ちゃん、莉音ちゃん、花乃ちゃん」



おばさんも、みんなに会釈する。
もう高校に入って3年が経って、1、2年とおばさんは授業参観に来ていたので、みんなの名前はちゃんと把握している。


みんな、やっぱりおばさんがお母さんって完全に思ってるよね。
まあ、わたしが『お母さん』って言っちゃったんだし、普通そうなるけど。


似てるかどうかだったら、わたしがお父さん似だと思われるだけだし。


いつものように騙すのは申し訳ないけど、もう諦めるしかないし、おばさんとみんなは初対面じゃないんだからおどおどしていたら、余計におかしいよね。




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