極上旦那様ととろ甘契約結婚
順調ですか?
「いってくる」

「はい、いってらっしゃい」

「今日は遅くならないはずだから」

「じゃあ夕飯一緒に食べれるんですね。リクエストあったら夕方までに連絡下さい」

「分かった」

結婚してから一ヶ月、毎朝交わされる会話だけを聞いていれば、普通の新婚さんだろう。いや、新婚にしても仲の良い方か。大きな背中が出て行った玄関扉を見つめながら私は緩く笑う。

上手く行き過ぎて、恋愛感情の存在していない、お互いのメリットを考えての契約結婚だとうっかり忘れてしまうくらいだ。

だから幸せを感じるとちょっと怖くなる。

離婚については覚書を交わしたあの日以来何も話し合っていないけれど、普通に考えれば、どちらかに好きな人が出来た時点で別れる事になるだろう。

私自身は随分前から恋愛は諦めているけど、修吾さんは違う。恋愛に興味がないような事は言っていたけれど、恋なんてとっさにやってくるものだ。それを事前に避けるのは不可能だし、そんな無理をして修吾さんを不幸にするのも嫌だ。
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