君の描いたクローバー〜遠く離れても、きっと〜
私の大好きな時間
キーンコーンカーンコーン……。

チャイムが鳴り響くと、英語の先生が顔を上げる。

「もうチャイム鳴っちゃったから、続きはまた今度ね」

チャイムが鳴ってくれてよかった。私は英語が苦手。特に文法はわけがわからなくなる。いつも英語の時間は憂鬱だ。

でも、今からは違う。四限目はとっても楽しい時間だから。

私の名前は望月彩羽(もちづきさいは)。中学三年生。

「彩羽!次、お前の好きな授業だろ?早く移動するぞ」

そう言い私の肩を叩いたのは、私の幼なじみで彼氏の村雨工(むらさめつかさ)くん。小さい頃からずっと好きで、中学二年生の時に思い切って告白をしたんだ。

「うん、すぐ準備するね」

私は笑顔を見せ、ロッカーから次の授業に使うファイルを出す。次の授業は美術だ。

「お待たせ!行こっか」

私はそう言い、工くんと美術室に向かって歩き出す。

「美術か〜……。嫌だな……」

「絵、描くの嫌いなの?」

工くんは美術の授業前はいつもこんな感じ。英語の授業の前の私に似てる。
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