悔しいけど好き

奴の嫉妬にご用心

昼から、家族みんなでお墓参りに行きお墓を掃除して手を合わせる。
鷹臣は関係ないから来なくていいよと言ったのに付いてきて掃除もかいがいしく手伝っていた。
しっかり手を合わせ一心に祈ってるその横顔を見て不思議に思う。
お墓にいるおじいちゃんやご先祖さまも見ず知らずの人間が手を合わせてるからびっくりしてるんじゃないだろうか。

その後は家族と別れ二人で街を散策した。
いわば鷹臣との初デートだ。
鷹臣が私の思い出の地を見てみたいというから懐かしい学校や公園、よく行ったお店などを案内しながら手を繋ぎ歩いた。
少し休憩しようとお気に入りのカフェに入れば懐かしいご主人と奥さんがいる。
意外にも私の顔を覚えていてくれていて、「久しぶりだね、来てくれてありがとう」と言われて嬉しかった。
鷹臣を見て奥さんが目をキラキラさせて「彼氏?かっこいいわね?」なんて言うから奴はまた愛想笑いを振りまき奥さんの頬を赤くさせる。

そう言えば、カフェにいる女の子たちもチラチラとこちらを見てる。
注目の的の鷹臣を前にして私は頬杖を突きミルクティフロートをスプーンでつつきながら顔をまじまじと見た。
案外甘党の鷹臣はチョコバナナパフェなんて注文して美味しそうに食べてる。
きりっとした眉に目鼻立ちの整った顔、いつもは上げている前髪は降ろしていて少しだけ幼く見える。
誰がどう見たって鷹臣はかっこいい。
人当たりもいいから男女問わず人気がある。
引く手数多の鷹臣はなんで私なんかを好きになったんだろう?
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