いつも、ずっと。
プロローグ
「じゃ、ちょっと行ってくるね。待っとって」

佐世保に出張するという明日美を車で駅まで送ろうとして、何故か駅向かいのコンビニ"イレブン"に寄ることになった。

ここの"イレブン"はいつ来てもお客さんが多く、三台しか停められない駐車場はほぼ埋まっている。

仕方ないからちょっと離れた場所に路駐して待つことにした。

"イレブン"の方へ歩いていく明日美の姿が見えなくなって、ふと嫌な予感がよぎった。

…………まさかな?そんな訳ないよな、明日美。

しかし、悪い予感というものは当たる事の方が多い。

居ても立ってもいられず、ちょっと強引に車をUターンさせ、さっき通り過ぎた"イレブン"の方に向かう。

店内に明日美の姿は……ない。

俺をこの場に置き去りにし、ひとり歩いて駅に向かったのだろう。

こうなったら一刻を争う。

急いで駅の構内に移動し、車を駐車場に停めて先回りするしかない。

明日美、俺に嘘ついたまま行ってしまうつもりか?

福岡に行くことを告げずに?

明日美は今頃、歩道橋を渡ってこっちに向って歩いているはず。

改札口に向かう途中にある"かもめ広場"で待つか。

しかしかもめ広場は広すぎて、落ち着かない。

雨が降ってるから屋根のある場所でと思ったけど、ここじゃダメだ。

傘をさして歩道橋の階段の近くで待っていよう。

田代先輩との約束の時間は夕方の四時。

なにかメールとか来てないだろうかと携帯を取り出して、ああそうだったなとため息をついた。

昨夜、母さんと瀬名から立て続けに電話かかって来て、その後風呂に入ってる間に電池切れになっていた。

充電器を持って行ってたつもりで忘れてたらしく充電もできないまま今に至る。

今日は家に帰らずに車の中で明日美を待ち伏せしてたからな。

携帯の電源が切れてる事なんてすっかり忘れてた。

これじゃ明日美にメールも電話もできない。

もしここですれ違ってしまったら、このまましばらく会えなくなってしまう。

まだ完全に誤解を解く事はできないけど、せめて次の約束くらいは……。

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