一級建築士の萌える囁き~ツインソウルはお前だけ~

桜の舞う4月。

入学、クラス替え、入社、引っ越し・・・etc.

新しい環境との出会いは゛不安゛であると共に、これから起こる何かへの゛期待゛の裏返しでもある。

流川萌音(るかわもね)22歳。

4月7日が来れば23歳になる駆け出しの二級建築士の資格を持つインテリアプランナー兼エクステリアデザイナーだ。

「流川萌音さん、建築設計部・・・」

「はい」

今日は佐和山建設の入社式。

学校であれば、4月7日とか10日辺りから新学期がスタートだが、社会に出たからにはそんなモラトリアム期間は期待できない。

容赦ない4月1日スタート。

萌音は、人事部の素敵なお姉さんに伴われ、同期の男女3名と共に建築設計部に向かっている。

建築設計部は、建築課と設計課に分かれており、二級建築士であり、インテリアとエクステリアの資格を持った萌音は、設計課に案内された。

「流川さん。私は夏田しのぶ。インテリアコーディネーターなの。よろしくね」

萌音と同じく設計課に配属された同期の女性。

歩きながら、上司の目を盗んで萌音に囁く彼女は、中肉中背で肩までの長さのウェービーヘアが素敵な可愛らしい女性だ。

「よろしくお願いします」

「うわ、笑顔最強・・」

軽く頭を下げながら微笑む萌音を見て、しのぶは思わず本音を口にしてしまっていた。

そんなしのぶを萌音はジッと凝視する。

「えっ、な、何?どうしたの?」

突然、天然美少女の雰囲気を醸し出す萌音に見つめられ、驚き真っ赤になるしのぶ。

萌音は、ひとしきりしのぶを見つめていたが、そのうち満足したのか、

「いえ、何でもありません」

と言うと、微笑みを称えたまま前方の課長に向き直った。

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