彼と彼女の甘い秘めごと
「…晴人、委員長さんより自分のこと気にすれば?次出番だけど」
「マジか!?…っサンキュ伊織!」
何の気なしに呟かれたその言葉。
けれど伊織の心をえぐるには十分すぎたその言葉。
「なんか気になる」、その果ての気持ちが
…自分の思い過ごしであってもなくても
紗和の気持ちは、自分にあるのだから。
(…寝よう…)
これからもこの日常は変わらない。変えさせない。
そう信じて疑わなかった。それはもちろん紗和もだと、伊織もよく分かっていた。
けれど
「絶対」は無いことを、彼と彼女はまだ知らずにいた――…。
◇◇◇