雨のリフレイン

脅威は去り

退院した母と、三浦家に世話になって二ヶ月。
季節は晩夏になっていた。
ようやく、弁護士から連絡があった。

水上鈴枝は、膨れ上がった借金を返せず自己破産をして、息子を連れて九州の実家に帰ったという。着の身着のまま追い出されたらしい。

一条が尽力してくれたのはもちろんだが、今回はなんと、桜木一樹も手を貸してくれたという。アメリカに発つ前に、世話になった柊子と信子の為にと鈴枝の周りにいたヤクザを一掃してくれたのだ。



もう、脅やかすものはない。



やっと洸平に会いに行くことができる。
柊子は、携帯で洸平にメッセージを送った。


ーー会ってお話ししたいことがあります。明後日の金曜日に横浜に行きます。五分で構いませんので、お時間を下さい。


ーーわかりました。金曜日は午後から時間が取れます。まだ残暑厳しいので気をつけて。


久しぶりに返信メッセージが届いた。
要件だけじゃなく、彼の優しさまで垣間見れて嬉しい。

今度こそ、会ってそして妊娠を伝えよう。
大丈夫、きっと大丈夫。絶対全て丸く収まる。






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