リベンジ学園
(どうして紗栄子はいじめられなくちゃいけなかったんだろう?

紗栄子は私とタイプが似ていた。

大人しくて、目立たなくて、友達が少ない。

でも、それって悪いことじゃないよね。

紗栄子が誰よりも優しかったことは、私が一番知っているから)



智恵は3年2組の教室に入ると、窓際の一番後ろにある自分の席に座り、教室全体を見回していた。



昨日までと同じ教室の風景なはずなのに、今日の教室の風景は全然違う。



教室の真ん中の席にいるはずの紗栄子が、二度とあの席に座ることはないからだ。



智恵はあの教室の真ん中の席で、何もしゃべらずうつむいていた紗栄子の気持ちを想像していた。



そして紗栄子が本当に死んでしまうなら、こんな頼りない自分であっても何かができたのではないかと思い、智恵の心は鉛のように沈んでいた。
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