リベンジ学園
「何で私らばっかり教室に残されんだよ。

紗栄子が死んだからって、事情聴取でもするつもりかよ」



そう言って、少しも悪びれずに不遜な態度を取っているのは、特別階級の一族でこのクラスの女王、村上晴江だ。



晴江はスラリと背が高く、細身で、色白で、長い黒髪を腰まで伸ばしている美少女だ。



その容姿だけを見たならば、モデルや女優と比べても見劣りしないが、晴江の横暴な性格を好きになる人はいなかった。



(晴江さんが早苗さんや菜々美さんと一緒に教室に入ってきた。

今日の晴江さんは機嫌が悪そう。

目を合わせないように気をつけなくちゃ)



もしも晴江ににらまれたなら、自分も紗栄子と同じ目にあわされる。



智恵はそれが怖くて、自分が空気にでもなったつもりで、教室の隅で息を殺していた。



きっとこのクラスには智恵と同じように晴江を嫌いな生徒はいるはずだった。



でもそのことを口にするクラスメイトは、ただの一人もいなかった。
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