ボードウォークの恋人たち

4年遅れのハタチのお祝い


目覚めたのはもうすぐ昼になろうかという時間。

寝すぎた・・・頭がぼーっとする。
寝心地の良いベッドというのも考えモノなのかもしれない。目覚ましをセットしておかなかったから思いの外熟睡してしまった。

んんーっと大きく身体を伸ばし、ベッドから出てカーテンを開けてみると、外はよく晴れていた。

高層階からの眺望には戸惑いを感じるけれど青い空だけ見ていれば気持ちがいい。私が住んでたアパートは窓を開けても目の前は別の建物の壁だったし、実家は一戸建てでこんな眺望はない。
下を覗き込まなければいいのだ。そう、空だけを見よう。
高所恐怖症ではないけれど、あまりに高い所は見ているだけで下腹がぞわぞわしてしまう。

頭をふるふると振ってスイッチを切り替える。次の勤務は明日の朝からの日勤、だから今から一日半のゆとりがある。この時間を有効に使わないと。

昨日寝る前に食べたリゾットはもう消化されていて身体が空腹を訴えていた。
まずは食事から。
私はキッチンに向かった。

ここに来た初日にここにある物は食材を含めて何でも自由に使っていいと言われている。おかげで遠慮なく冷蔵庫から食材をいくつかありがたく頂戴する。

最新式のキッチンは使い勝手がよくて、調理器具もセンスがいい。
ハルの恋人のための物だったら私が使うのは申し訳ないし、彼女たち(・・・・)が使った物であれば使うのは嫌だなと思っていたのだけれど、ハルはそのどちらでもないと言った。

ここの家電製品含めたインテリア全てが帰国してすぐプランナーさんに頼んだ物でもちろん全てが新品なのだとか。そしてここには私以外の女性は絶対に出入りすることがないから何も気にするなと言われたのだ。基本的な調味料を含めた食材はマンションの家事代行サービスに頼んで準備してもらったのだとか。

確かに、仕事を持つ男性が調味料を含めて一から揃えるのは手間だろう。お塩、お砂糖、しょうゆ、みりん、マヨネーズにケチャップ・・・すぐに必要になるものが置かれているから足りないものだけ買い足していけばいいのだ。

ベーコンと卵焼きをレタスと共にトーストした食パンに乗せてシーザードレッシングをちょっとかける。香ばしい香りに待ちきれずお腹が鳴り出した。




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