"さよなら"には早すぎて、"はじめまして"には遅すぎる
大学2年、夏。

明日からが楽しみで仕方ない。

テスト終了。夏休みの始まり。

明日、荷物が運ばれる新居の掃除をする。
それが今日の俺の目的。

目的地を知らせるアナウンスとともに降車ドアが開く。ふわりと香る潮の香りと、車内の快適さを消し去るような熱気。

電車が俺を置いて行く瞬間、潮の香りはより一層強くなった。

目の前には潮風に当てられて錆びたベンチ。耳を澄まさずとも聞こえてくる波の音。

振り返れば車窓から見えていた真っ白な砂浜とキラキラと輝く海、その向こうに広がる澄み渡った青空。


「綺麗だな」


じっと海を見つめる。波に乗るサーファーを発見した。

顔は見えないが、サーファーというだけでカッコイイのはなぜだろう。キャーキャーと黄色い声が聞こえてくる。


さっきまでの美しい景色に浸っていた気持ちが少し冷め、駅を出た。


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