東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】

怒涛其の弍

30年前。
東京。
摂津秋房の拠点である。

鬼の一族は、何十人かはいたらしい。

昔の京都。
それこそ、その昔平安時代などは、何千人もの鬼がいたらしい。
人の世界に隠れると言うよりは、共存とも言える生活環境だったらしい。
畏怖すら感じさせるものの、その自慢の怪力や神通力の類は、人々の生活に役立つ存在だったそうだ。
しかし、その中で権力に興味を持つ者達が時の将軍に戦争を仕掛けた。
鬼一人でも、武芸者十人位に匹敵する為
対応に窮した。そんな折、稀代の陰陽師が登場する。
安倍晴明である。

彼の弟子や門下生による鬼討伐は凄惨を極めた。
都全体を囲む程の巨大な円陣は、逃げる余地も与えぬ強力なものであり、全滅を余儀なくされた。
そして、その波が全国にも及ぼうとしていた。
そうした報を受けた鬼共は慌てふためき、逃げ惑った。
人目を憚り、人の世の裏へ潜ったのである。

安倍家の討伐は、代を代えて続き鎌倉室町江戸明治時代へと流れた。
数を減らしながらも、鬼の一族は生き延びたのだった。
摂津秋房が“鬼の王”となったのが50年前らしいので、現在何歳になるのであろうか。

東京。
摂津は東京に潜伏していた。
彼は頭が良かった。
時代の流れに乗ることが上手かった。
その時その時の長になる事で、上手く事を済ます事が出来た。
見た目の若さから、10代から20代の若者と成り、生活に溶け込んでいた。
出過ぎず、出しゃばらず。
それが信条であった。

30年前に事件が起きるまでは。







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