シンフォニー ~樹
6

それからの絵里加は、可愛さの中に 恋する甘さがプラスされて 眩しいくらいに美しくなっていく。

以前と同じように 樹の家を訪れては お祖母様や母を 労わる絵里加。
 

「あれ、姫。デートじゃないの?」

母達とお茶を飲む絵里加に、樹は声をかける。

今までと同じように明るく。

従兄妹のお兄ちゃんとして。
 


「もう帰ってきたの。タッ君も お出掛けしないの?」

と可愛く微笑む絵里加。
 
「今日は 姫が来るかなと思って。家で待っていたんだよ。」樹が言うと、
 
「嘘ばっかり。偶然のくせに。」と口を尖らせる。

幼い表情が可愛くて 樹の心は 掻き乱される。
 


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