如月くんは私をひとりじめしたい
「安藤さん」
「は、はい!」
「筆箱、落ちたよ」
「あ、ありがとう」
あれから、ずっと放心状態だった。
あんな甘いキスを他の女の子にするなんて、耐えらんないもん。
筆箱を拾ってくれたのは前の席の東雲くん。
東雲くんは黒髪で眼鏡をかけた秀才男子。
地味な感じで勝手に仲間意識を持っていたり。
地味な私と同じにされたくないとは思うけど。
「安藤さんって本当に如月と付き合ってるの?」
「うん」
「そっか」
東雲くんはまた勉強を再開した。
結局、何だったんだろう。