未明の三日月 ~その後
4

「詩帆ちゃん、もう夜中に 起きないんでしょう。美咲、そろそろ こっちで寝なよ。」

詩帆を産んでから、美咲は 一度も佳宏に 抱かれてない。

いつまでも このままでは いられないと思いながら 美咲は まだその気になれなかった。
 

「そうだね。週末 詩帆ちゃんのベッド 移動しようか。」

出産前、美咲は 佳宏に抱かれて幸せだった。

でも、今は 抱かれたいと思わない。


嬉しそうに頷く佳宏を、美咲は 疎ましく思ってしまう。
 


妊娠も 出産も 育児も、全部初めてだから。

美咲は 母になる責任で、女の自分を 切り捨ててしまった。


美咲一人で 背負うことではないと わかっている。

佳宏は いつでも 協力する姿勢を 見せてくれた。


それなのに 美咲は、育児を 佳宏と共有できない。
 

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