未明の三日月 ~その後
5

育休中に 会おうと言っていた麻有子を 訪ねた美咲。

二人は 独身の頃から、何でも相談し合っていた。


美咲は、佳宏に対する思いを 麻有子に話してみた。
 

「私 詩帆を産んでから 佳宏への気持ちが冷めちゃって。麻有子達 そういうこと なかった?」

美咲が聞くと 麻有子は 驚いた顔で 美咲を見る。
 

「そういう人、多いみたいよ。産後って ホルモンのバランスが崩れるから。」

と静かに言った後で、


「私達は、ないけどね。ほら 私達 心を分け合って 生まれて来たから。」

と麻有子は 笑いながら言う。
 


「何、それ。」

美咲も つい笑ってしまう。
 

「私と智くん、子供の頃から すごく相性が良くて。いつも 同じようなことを 思っていたから。きっと 一つの心を 分け合って生まれたんだろうって 言っているの。」

麻有子は、自分から言って 照れていた。
 

「いいわね。そんな風に言い合える夫婦って。最高じゃない。」

美咲が言うと、
 
「智くん 家のことも子供のことも すごく協力してくれるから。でも私も 努力しているよ。」

麻有子は言う。
 


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