魔界レストランをバズらせます〜転生少女の立ち退き撤回奮闘記〜

初めから従業員は魔物だと宣伝してきたし、隠していたわけではなかった。

しかし、コンセプトレストランとしてある程度の知名度がある今、“人間のフリをしていた”、“騙していた”という意見が出ても、反論できない。

実際、私はシグレが店に来た時に魔物の存在を隠そうとした過去がある。それは、普通の人間には到底受け入れてもらえないだろうと、私自身が心のどこかで思っていたからだ。

すると、ルキが私の心境を全て察したように口を開いた。


「《レクエルド》を続けるなら、いずれはしっかりと説明すべきことだ。魔物が受け入れられないという客が離れることを怖がる必要はない」


すっと心のつかえが消えた気がした。

ルキの言う通りだ。お客さんにもお店を選ぶ権利がある。ここで多くの人に認められてこそ、立ち退き撤回の意味があるんだ。


グレンダさんは、ツテを駆使してメディアのみを招いた会見の手筈を整えてくれた。ネットでも全国中継がされる予定で、その注目度は高い。

きっと、会見で魔物が出てこようものなら、脅してあることないこと報道させようとしていると揚げ足を取られかねないだろう。

信憑性のある会見を発信するには、批判を言う人間、店を潰そうとする役人と同じ土俵に立つ人物が行う必要があった。


「私が行きます」


迷いなくそう言えた。

ルキはもどかしそうに藍色の瞳を揺らしていたが、やがて小さく頷いたのだった。

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