後輩くんはワンコ時々オオカミ
ワンコは策士?





「俺、眞子先輩のことが好きです」





涼太の口から出た言葉は予想もつかないもので

それを理解するのに
しばらくの時間を要した


その間にも涼太は攻めてきていて


『落とす』とか『俺を見て』とか聞こえた


そして


チュッ


涼太の告白を聞いたあとの
どこか現実味のない私のオデコに
リップ音が鳴った


「・・・っ」


驚いて涼太を見れば


「ごめんなさい、つい」


そう言って涼太はいつものように笑った


「さぁ、冷めますよ?」


何事もなかったかのように
椅子に座った涼太は

オムライスを食べ始める


「あ、うん」


微妙な返事をしながら隣に座ると
少し冷めたオムライスを頬張った


「ご馳走様でした
後片付けは俺がやります」


サッと立ち上がって
キッチン側に回るとスウェットの袖を捲った涼太は


「眞子先輩も、はい」


そう言って手を伸ばしてくるから
オムライスを飲み込むとお皿を渡す


「慣れてるね」


手際の良い涼太を眺めながら
声を掛けると


「うち、共働きなので
俺、なんでもできますよ」


涼太は大したことないと笑った


相変わらずその笑顔は可愛くて
フワフワの癖っ毛に手を伸ばしたくなる

それをグッと我慢して
涼太を見つめていると、さっきのことが蘇ってきた


涼太が私のことを好き?


だって・・・涼太は可愛いワンコで

三年前まで可愛さのあまり抱きしめることも多かった

あの小さくて可愛い涼太は

今は信じられないくらい大きくなって


でもワンコで

にわかには信じられない事実に
頭が混乱してきた


でも・・・

これまで告白された時と違って
ちゃんと自分の気持ちに向き合って

ちゃんと返事をしなきゃって

そう思った







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