後輩くんはワンコ時々オオカミ


後片付けが終わって
涼太とお茶を飲んでいると

洗濯機のブザーが鳴った


中から制服を取り出すと
綺麗に乾燥できていてホッとする


「涼太、制服できたよ」


そう言って手渡すと


「ありがとうございます」


涼太は笑顔で受け取った


「着替えてきますね」


「脱いだ物はカゴに入れておいてね」


「はい」


次にリビングの扉が開くと
涼太は制服姿で戻ってきた


「眞子先輩、今日はありがとうございました
雨も止んだみたいなので
俺、そろそろ帰りますね」


「あ、うん」


新聞の上に置いていたエナメルバッグも
良い具合に乾いていて

なんだかホッとした

しかし・・・玄関まで見送ると
そこには濡れたままのスニーカーが見えて

なんだか急に残念な気持ちが湧いてくる


「靴だけ、ごめんね」


「眞子先輩の所為じゃないですよ」


靴を履き終えて振り返った涼太は


「危ないから見送りはここまでで」


そう言うと下までついて行こうとした私を止めた


「おやすみなさい」


「おやすみ」


涼太が見えなくなって玄関の扉が閉まった瞬間

ギュッと胸が苦しくなった





・・・・・・?




この苦しさがなんなのか
まだ私にはハードルの高い変化だった



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