一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています

松永咲綾　２７歳。
すらりとした体形と切れ長の瞳、かわいいとは言われないが、綺麗な顔をしていると昔は言われていた。

今日は背中までの黒い髪を一つにまとめ、シルバーフレームのメガネ、そして白のニットに、上下黒のパンツスーツといういかにも地味な就活のようなスタイルだ。
普段はジーパンにTシャツの私がこんな格好をしているわけは、不動産や飲食店など幅広く展開する、大村グループの不動産部門であるSOWA不動産の秘書課の事務に内定したためだ。

元々大学卒業後、語学を活かして大手商社の秘書をしていた。そのとき知り合った社長に紹介してもらった仕事だ。

「こちら新しく専務についてもらう松永さんです」
秘書室長が私を紹介するも、言葉がでずごくりと唾液を飲み込む。