一夜の過ちで授かったら、極上御曹司に娘ごとたっぷり溺愛されています
翌朝私はハッとして目を覚ました。
「何時? 真由?」
つい口をついた言葉にとなりから笑い声が聞こえた。

「おはよう」
その声の方に視線を向けると、真っ白なシーツの上で、頬杖をつきながら私を見つめる真翔さんがいた。
昨日は見る余裕などなかったが、バランスよく適度に筋肉がついたその体を私はまじまじと見てしまった。

「何? そんなに見たいならこっちにおいで」
腕を引かれその胸に抱きしめられる。そして自分も何も着ていなかったことを、素肌が触れ合う感触で気づいた。

「いつから起きていたんですか?」
その事実が少し恥ずかしく、ごまかす様に私は真翔さんに問いかけた。

「うーん、いつだろう。絶対咲綾より先に起きるって決めてたからな……」
「どうして?」
その言葉に私は疑問を口にする。

「今度は絶対に、咲綾を寂しい気持ちにさせたくなかった」
「真翔さん……」
真翔さんの気持ちが嬉しくて、私はそっと初めて真翔さんに触れるだけのキスをする。
今の私にはこれが精いっぱいだ。
「今朝はとても幸せです」
照れながら笑った私に、真翔さんはもう何度目かの困った顔をする。

「咲綾って本当に……」
その先の言葉を聞くことはなく、もう一度私はベッドの中へ引きずり込まれた。

< 245 / 299 >

この作品をシェア

pagetop