寵愛紳士 ~今夜、献身的なエリート上司に迫られる~

この日、どこへ行きたい、という晴久の問いに対して雪乃がリクエストしたのは、「王道のデートコース」。

恋人らしいことをなにもしたことがない彼女は、とにかく好きな人とデートができるだけで満足だった。

ざっくりとしたリクエストだが、なにをしても正解となることに晴久も肩の荷が下りており、同様にワクワクしている。

まずは、人気のイタリアンのお店へ。
ベネチアをイメージした内装で、外のテラスには小さな噴水がある。

せっかくだからとテラス席を選び、雪乃は鮭のクリームソース、晴久はボロネーゼを注文した。
食べながら、これからの予定を本格的に話し合うことに。

「暗いところが苦手だと、もしかして映画館とか行ったことない?」

「そうですね……高校生のときに友達と行ったきりです」

それどころか暗いと水族館や博物館、遊園地でもお化け屋敷やダークな乗り物は絶対ダメ。
もしやデートできる場所はないのでは……と不安になり、晴久の表情をうかがった。
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