君にカタオモイ
彼女の話をするあきらは、誰よりもなによりも楽しそうにきらきらとしている。
一緒にハンバーグをつくっただの、新作の映画を見に行っただの。
ああ、楽しそうでなによりだ。君が笑顔だとこっちまで笑顔になるわ。

醜くゆがんだ笑顔に。

「またそんな顔してる。じゅん、振られたんか?」

砂糖をどばどば入れたカフェオレを啜りながら、あきらはそんな的外れなことを言いだす。

「…砂糖とりすぎて頭わいたんか、あほ」

「えー、いいすぎ」

けらけら笑いながら、あまさ足りんな、とまたガムシロップをあける。

「そんで?彼女のほうはどうなの。楽しそうだったん?」

「そらもう。夜のほうもばっちりなくらい」

ちく。ちくちく。

胸の奥が痛む。そらまぁ僕から振った話題なんやけどさ。

「あの子、声がほんとにやばくて。まじAV女優くらいよ!」

「下世話。下品。友達やめるわ」

「はぁ!?普通のことやって、知っとるやろ?あのちっさいからだから…」

「うるさいわロリコン」

「ロリコンちゃうわ!って、じゅんなんか機嫌わるない?」

ブラックコーヒー苦すぎるんや、と適当なことをいいつつ。

ああ。僕ってほんまえぇ奴。
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