きみは俺だけの彼女


雪姫は紙袋から髪留めを取り出した。



派手さもなくキラキラ光り輝くこともない。毎日着けてくれたらと思ってシンプルで控えめな紺色の髪留め。

よく見ればリボンの形なのだが一見しただけでは分からないような地味さだ。



「……今度、一緒に別のプレゼント買いに行こう。ちゃんと雪姫の好みの物を送りたいから」

決まりが悪くてそう告げたが雪姫は首を左右に動かした。



「これが気に入ったから他のは要らない。ありがとう嶋村くん。凄く嬉しい」


本当に大事な物を持つかのように両手で髪留めを包みこむように持って、頬を染めながら破顔した顔を俺に向けた。

思わず雪姫の肩を抱いて自分に引き寄せ、雪姫の肩に顔を埋める。


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