オオカミさんはウサギちゃんを愛でたい。
#08 暗がりで、

 #08 暗がりで、


 モトナリが、あたしを、幸せに――!?

「ちょっと助けてもらったくらいで。なんだよ」
「は?」
「ひったくりくらい。僕だって。……その場にいれば」

 なに、あんた大地くんとあたしの出会い知ってるわけ?
 ほんと怖いんだけど。

「ぶっ殺してやったのに!」
「やりすぎだから」
「美香さんのモノを奪おうなんて。重罪だ」

 待って。なに。つまり、 モトナリは。

「あたしのこと。実はけっこう好き?」
「……っ」

 モトナリが、ゆでダコみたいに赤くなる。

「え、そうなの? いつから?」
「出逢ったときからです」

 はい?

「……なんて可愛いひとなんだろう、と」

 いやいやいや!
 めちゃくちゃそっけなくて。
 なんなら態度悪かったし。

「天使。……なのかと」

 真顔でそういうこと言うな。
 耳まで赤いけど。

「じゃあモトナリの初恋は。あたしだったり?」

 なーんて。

「悪いですか」

 えぇえええ!?
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