Everlasting Love〜きみに捧げる永遠の愛の歌〜
プロローグ
 誰もいないのに道の端っこを俯いて歩くような日々だった。

 悪いことをしたわけでもないのに、後ろめたい何かがあった。

 そんな私に、歌うこと紡ぐこと吐き出すことは悪いことではないんだと、道の真ん中だって前を向いて歩いていけるのだと、君は君の眩しい音楽で私に教えてくれた。

 それなのに、それなのに私は…。

『そうちゃんなんか大嫌い!』

 そう吐き捨てて私は道路に飛び出した。信号が赤に変わっていたのに気付かずに。

 プーーーーーーーーーーーーッ。

 耳を擘くようなクラクションの音が聞こえた。轢かれる、そう覚悟した瞬間私の背中は誰かによって突き飛ばされ、その直後背後で鈍く大きな衝突音がした。

 後ろを振り返るのがただひたすらに怖かった。心臓が嫌な音を立て、額に冷たい汗が滲む。手足が震え、上手く動かせない。

 悲鳴やざわつきは聞こえるのに最愛の人の声だけが聞こえてこない。

 やっとの思いで振り返り、その光景を目にした時、私の思考は停止した。



 バシッ。



 どうやって病院まで来たのか、誰が救急車を呼んだのか、よく覚えていない。ただ、病院の廊下で彼の母親が私の左頬を強く叩き赤く腫れ上がった瞳で私を睨みつけていたところは鮮明に覚えていた。

『あなたのせいよ。あの子が死んだのは全部あなたのせいよ。』

 彼の母親の言葉を理解するのに少し時間がかかった。

 死んだ?

 頭が痛かった。割れそうなほどに。

 何も言わない私を見て彼の母親は激昂した。私に掴みかかり怒鳴る彼の母親の瞳には私に対する憎悪に溢れ、殺意すらあるように思えた。

 彼の母親を近くにいた看護師の人と彼の父親が懸命に止める。

 私はその様子を呆然と見ていることしか出来なかった。

『人殺し。』

 彼の母親が吐き捨てたその言葉が頭にこびりついて離れない。

 頭が痛い。心が壊れていくのが分かった。苦しい。呼吸の仕方がわからない。視界が少しずつ歪んで、そして程なく意識は途切れた。

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