一生ものの恋をあなたと
しかし、会ってみてすぐわかった。
彼女、廣澤灯里は新婚で、しかも妊娠中だった。旦那さんは内科医で、斎さんとも親しいと言う。
レッスンが終わる頃には、必ず車で迎えに来る過保護ぶりだ。
元々は、雅さんの友人の紹介だったとか。
雅さん絡みなら、絶対安心と言えるだろう。

レッスンの関係上、彼女の事は“あかり”と呼ぶことになっている。
灯里のレッスンは中々厳しい。
いや、灯里自身は厳しい人ではない。
一見、高校生かと見間違えるくらい、小柄で童顔。明るく楽しい人である。
問題は、レッスンの内容だ。

レッスン中、日本語は一切禁止。
英会話でやり取りしながら、北京語を学ぶのだ。

俺も留学経験者。
日常英会話は出来るが、この6年、英語は全く話していない。
錆び付いた英語力を駆使して、北京語を学ぶには、気を緩める隙もない。
しかし、回数を重ねる毎に、北京語はまだまだだが、英語の方はなんとか勘を取り戻してきた。

このレッスンを軽々こなしてきた斎さんは、すごい人だと改めて思う。

レッスンが始まって少しした頃、灯里と斎さんの会話から、衝撃的なことを聞いた。

『最近、新しい百貨店との契約が持ち上がってるんだ。』

これは、次の契約先の申百貨店のことだな。

『中国でのビジネス、好調なのね。
雅さんからも聞いてるわ。』

灯里は雅さんの娘さん、光ちゃんの英会話も引き受けている。

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